抄録
てんかん発作発現に関与する精神的緊張の役割を知る目的で読書, 書字, 計算, 構成行為などによる神経心理学的脳波賦活を施行した。本賦活によって突発波が賦活されたてんかん患者25例のうち, 9例に精神的緊張が賦活要因として関与していた。このうち3例では, 突発波が問題の説明中あるいは問題の解答に窮しているときなどに著明にみられ, 精神的緊張が賦活要因であった。日常気づかれている発作誘因を考慮して, これら3例は “精神的緊張によって誘発される反射てんかん” と診断された。残りの6例では, 書字や計算などの特定の精神活動に加えて, 精神的緊張も同時ないしは独立して賦活要因になっていることが推測された。