1992 年 10 巻 2 号 p. 138-143
Remillardらが最初に報告したsyndrome of cystic dilatation of the occipital hornについて当院小児神経科外来における頭部CTを検索したところ, 3例の本症を認めた。これは頭部CT施行例641人中0.5%で, てんかん患児 (者) 183人中1.6%であった。3例ともてんかんを合併していたが, 原因となる基礎疾患は周産期脳障害, 急性脳症, 急性硬膜下血腫と異なっていた。臨床症状は同名半盲などの視力障害, 片麻痺を共通して認め, 発作症状は複雑部分発作を中核とし, 3例中2例は難治性であった。脳波上の突発波局在は後頭部, 前頭部, 側頭部とそれぞれ異なっていた。本症は後大脳動脈領域の梗塞性病変によるものとされているが, CT像を基にして発作の病態生理を考えていくうえで重要と思われる。