てんかん研究
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10 巻, 2 号
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  • 羽賀 淑子, 渡辺 一功, 根来 民子, 麻生 幸三郎, 鬼頭 正夫, 前田 規秀
    1992 年 10 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    器質性脳障害が無く, 中心-中側頭部領域に局在性てんかん発射を有するてんかん小児74名の臨床経過を, その発作像により, I群: 部分発作のみ (19例), II群: 部分発作十二次性全般化発作 (35例), III群: 二次性全般化発作のみ (20例) の3群に分けて比較検討した。熱性痙攣の家族歴はIII, III群でI群より有意に多くみられ, 熱性痙攣の既往歴も同様の傾向が認められた。発作は, I群においては覚醒時に, III群においては睡眠時に多くみられた。また, 治療開始から発作消失までの期間は, III群で最も短く, 1群で最も長かった。中心-中側頭部にてんかん波を有する症例のうち, 部分発作に終始するものと, 全般発作のみを認める群の間には異なる臨床特性が認められた。
  • 榊 寿右, 星田 徹, 黒川 紳一郎, 江口 隆彦, 森本 哲也, 角田 茂, 岩崎 聖, 中川 裕之
    1992 年 10 巻 2 号 p. 119-129
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    てんかん発作の原因検索のためCTおよびMRIで器質的病変が判明し, 脳波にてspikeと病変部の局在が一致した22症例を対象に, 罹病期間病変の局在とその性状, 術前の発作頻度から術後の発作状況について検討し, さらにこれら病変の手術方針についても言及した。術後はいずれの症例にも発作頻度の減少と薬剤の減量をみることができたが, 発作を消失させるという点に関しては, 選ぼれた手術法よりも罹病期間, 病変の局在, 術前の発作頻度によった。つまり罹病期間が短く病変が前頭葉にあり, そして術前の発作頻度の少ないもので予後が良好であった。手術法に関しては, 病変部のみの切除した群と皮質脳波でspikeの著明な皮質切除を併せて施行した群との間で予後に有意差はなかった。
  • 土屋 智, 坂本 哲郎, 石田 重信, 白尾 一正, 本岡 大道, 中沢 洋一
    1992 年 10 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    近年乳児期に一側性ないし全般性の間代発作あるいは全般性強直間代発作で発病し, 以後学童期に至るまで強直間代発作を主徴とする一群の難治性てんかんが存在することが報告されている。われわれはその臨床的特徴を備え, carbamazepine, zonisamide, valproic acid, phenytoinなどの多剤併用による長期治療経過中に高アンモニア血症を呈し, また1-2時間も持続するathetosis, dystonia, choreaを混在したような奇妙な発作性不随意運動が出現した15歳の男性の症例を経験した。まずcarbamazepine, つぎにvalproic acidを減量中止したが発作性不随意運動には全く変化がみられなかった。さらにphenytoinを減量後に中止し, zonisamideによる単剤療法に切り替えたところ高アンモニア血症は改善し, 奇妙な発作性不随意運動も消失した。以上より両者の発現にはphenytoinが大きく関与している可能性が推定された。
  • 松井 潔, 黒川 徹, 加我 牧子, 桜川 宣男, 高嶋 幸男
    1992 年 10 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    Remillardらが最初に報告したsyndrome of cystic dilatation of the occipital hornについて当院小児神経科外来における頭部CTを検索したところ, 3例の本症を認めた。これは頭部CT施行例641人中0.5%で, てんかん患児 (者) 183人中1.6%であった。3例ともてんかんを合併していたが, 原因となる基礎疾患は周産期脳障害, 急性脳症, 急性硬膜下血腫と異なっていた。臨床症状は同名半盲などの視力障害, 片麻痺を共通して認め, 発作症状は複雑部分発作を中核とし, 3例中2例は難治性であった。脳波上の突発波局在は後頭部, 前頭部, 側頭部とそれぞれ異なっていた。本症は後大脳動脈領域の梗塞性病変によるものとされているが, CT像を基にして発作の病態生理を考えていくうえで重要と思われる。
  • 鬼頭 正夫, 渡辺 一功, 根来 民子, 麻生 幸三郎, 羽賀 淑子, 前田 規秀, 大木 隆史
    1992 年 10 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    1歳3ヵ月の発症時から11歳8ヵ月の現在に至るまで10年間, シリーズ形成を伴う前屈発作がみられた症例を報告した。繰り返し行われたビデオー脳波同時記録では, 頭部前屈と上肢屈曲に伴い, 脳波上, 高振幅徐波が観察され, West症候群にみられるflexor spasmsと同一発作と考えられた。しかし, 発作間欠時脳波では, 後頭部に限局する棘波のみが認められ, hypsarrhythmiaはてんかん発症時のものも含め一度もみられていない。本症は現在までに報告されているいずれのてんかん類型にも合致しないと考えられる
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