てんかん研究
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てんかん性笑い発作の神経生理学的機序に関する研究
双極子追跡法による脳内電源の分析を中心に
古関 啓二郎岩佐 博人伊藤 寿彦柴田 忠彦佐藤 甫夫
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1994 年 12 巻 2 号 p. 107-117

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抄録
てんかん性笑い発作の発現機序を検討する目的で, 笑い発作のみを発作症状とする1例に, 双極子追跡法 (Dipole Tracing: DT) および123I-IMP SPECTを施行した。この症例の発作間欠期脳波は, 発作の初発から間もない時期では, 右前側頭部優位の棘徐波結合であったが, 後期においては多棘徐波結合が頻発するようになった。これらの突発波のDT分析を行った結果, 早期の棘波では右側頭葉内側部に等価電流双極子 (equivalent current dipole: ECD) が推定され, 後期の多棘波の先行棘波成分は早期の棘波と同様に右側頭葉内側部に, 後発棘波成分は前頭葉内側部にそれぞれECDが推定された。また, 同時期の123I-IMP SPECTでは, 右前側頭葉および前頭葉内側部に血流増加が認められた。これらの結果は, 笑い発作の発現には側頭葉内側部のみならず隣接の大脳辺縁系が関与していることを示唆している。
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