抄録
未治療の中心・中側頭部に棘波を有する小児てんかん (BCECT) 20例に対しクロナゼパム (CZP) を投与しRolandic discharge (RD) の消失と臨床発作の消失について経時的に検討した。CZP服用1週間目の脳波で13例中6例はRDは消失した。1カ月目の脳波では20例中15例 (75%) でRDは消失した。
1カ月目にRDが消失した15例のうち脱落した3例を除く12例にCZPをひきつづいて投与し, RDと臨床発作の経過を検討した。10例は3カ月から2年6カ月の間にRDが再出現し, このうち7例で臨床発作も再発した。
CZPに対し早期に反応し, 消失することはRDの特徴のひとつと考えられた。RD早期消失例と非消失例の間には臨床像の差はみられなかった。CZPの服用を続けるとRDおよび臨床発作に再発がみられ, BCECTの治療薬としては本剤は第一選択剤にはなり得ず, 今後服用方法の検討が必要と思われた。