抄録
43例の側頭葉てんかん患者において99mTc-HMPAOSPECTを用いて発作間欠期の脳血流量を非侵襲的に測定した。大脳平均脳血流量は年齢および罹病期間と有意な負の相関を示し、小脳平均血流量は罹病期間と弱い有意な負の相関を示した。発作頻度と脳血流量との問には、有意な相関はみいだされなかった。PHT服用群は非服用群に比べ、大脳で平均8.6%、小脳で平均119%の有意な脳血流量の減少を示した。PHTはてんかん焦点側よりも非焦点側の側頭葉の血流量をより減少させた。SPECTで一側側頭葉の血流低下を示し、かっMRIでも同側の海馬硬化所見を示す例では、それ以外の例に比べ、同側の側頭葉の血流量がより低く、かつより広範な血流低下を示した。以上、発作間欠期の側頭葉てんかんにおいて99mTc-HMPAOを用いた非侵襲的脳血流量測定が、てんかん焦点および周辺領域の脳血流量および抗てんかん薬の影響について有益な情報を与える可能性が示唆された。