抄録
14歳の先天性筋ジストロフィー男児が突然の昏睡と呼吸停止をきたし, 翌日から痙攣重積に陥った. 痙攣はPB, DZP, PHTに抵抗性でThiopental-Naにより抑制された.
減量すると痙攣再発するため, 同剤の約4mg/kg/hr投与を継続したが, ECGでA-Vblockの進行を示し, 心停止に至った.
剖検で右心房内に直径2cmの結石が見いだされ, その組成はThiopentalが72%, 非溶解血漿蛋白が8%であった.
同時投与していたIVH液とThiopental-Naを混合するin vitroの実験では, 後者が高濃度なほど明らかな結晶形成を認めた.
難治発作へのThiopental-Naの持続投与, 特にアルカリ性薬品との併用では, 結晶 (結石) 形成にも注意する必要がある.