てんかん研究
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Epilepsia Pattialis Continuaの臨床と予後
大谷 和正森川 建基福島 克之東 卓司宮越 雅子八木 和一清野 昌一
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1987 年 5 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

Epilepsia partialis continua (EPC) の6症例について臨床経過ならびに脳波, CT, 脳血管撮影 (CAG) の所見と予後との関連について検討した。神経精神医学的ならびに発作予後の良好な2例 (発症時年齢: 15歳, 19歳) は, 脳波と放射線学的異常所見に乏しかった。臨床経過は非進行性ではあるが, 発作は持続した3症例 (発症時年齢: 15歳, 12歳, 2歳) では全例に片麻痺を合併し, 1例 (2歳発症例) には複数部位の持続性ミオクローヌスとともに難治の合併発作がみられた。脳波には背景活動の軽・中等度の異常, CTには軽・中等度の大脳の萎縮像がみられ, そのうち, 2例 (12歳, 2歳発症例) にはCAGにcavemous angiomaが認められた。神経精神医学的所見が進行性に悪化し, かつ発作も持続した1例 (発症時年齢:2歳) では複数部位の持続性ミオクローヌスとともに多様な合併発作を有し, 脳波の背景活動には右半球性の著明な高振幅性徐波化と左半球性の低振幅化が, CTには左半球の進行性の萎縮が認められた。
以上の結果, 幼児期発症のEPCでは, 脳の未熟性を基盤として, 発作ならびに神経精神医学的所見は, より複雑かつ進行性に経過するものと考えた。

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