抄録
抗てんかん薬治療にもかかわらず, 1年以上にわたって, 月1回以上の複雑部分発作をもつ難治側頭葉てんかん34例に対して, carbamazepine (CBZ) ないしphenytoin (PHT) の単剤治療を試みた。その単剤の投与量は複雑部分発作が1カ月以上抑制されるか, あるいは副作用が出現するまでとした。13例がPHT有効で, 3例がCBZ有効であった。そのうち3例がCBZ無効でそれに代わるPHT有効であり, また9例はPHT, CBZの両薬剤とも無効であった。以上難治例に対してPHTの方がCBZに比し有効例が多かった。発作の抑制される血中濃度は通常の至適濃度を越えていた。また薬物抵抗例は発作頻度が高く, 複雑部分発作で発症しているものが多かった。