てんかん研究
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シルビウス発作を伴った後天性てんかん性失語症の1例
平林 伸一笠井 慎治馬場 淳渡辺 卓二林 耕司
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1988 年 6 巻 1 号 p. 76-84

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抄録
てんかんと後天性失語を有する1学童例を臨床的脳波学的に検討した。症例は, 軽度の構音の未熟性を既往歴に有しながらも, ほぼ正常の言語発達を示した男児で, 6歳7ヵ月でけいれん発作が初発し, 7歳5ヵ月頃より失語症状が出現した。失語症の発症時には, 緘黙状態を呈したが言語性聴覚失認は示さず, その後の経過でも, 表出面の障害が優位であった。脳波は, 両側中側頭部優位の棘徐波結合が, 徐波睡眠にて全般化し, かつ著明な増強を示した。CZP投与にて発作波は速やかに消失したが, 失語症状の改善は緩徐であった。シルビウス発作と考えられる片側顔面けいれんの発作時脳波も記録され, 患児のてんかん類型は, 良性小児部分てんかんと近縁のものと考えられた。
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© 日本てんかん学会
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