抄録
夜間のシルビウス発作の経過中に, Lennox症候群の発症を疑わせるような小運動発作と, 睡眠時の連続する広汎性鋭徐波複合を呈する特異な15症例の臨床脳波学的特徴は, 以下のようであった。(1) 部分発作と小運動発作の特異な合併, (2) 強直発作やミオクロニー発作の合併はなく, 部分抑制発作と短い非定型欠神発作が主体で, 数ヵ月単位の寛解増悪を繰り返す。(3) 発作は, 8~10歳で寛解, 知的予後はLennox症候群より良好である。(4) 成因として痙攣性素因が重要である。小運動発作の発生機序として, 高電位の鋭徐波複合とその局在部位が重要と考えられた。本症例群は, 良性部分てんかんとLennox症候群との中間のスペクトラムを形成すると考えられた。