てんかん研究
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黒質・脚橋核GABA投射路のPentylenetetrazol (PTZ) けいれんに対する促進効果
根岸 夏己永矢 洋岡田 玲子
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1988 年 6 巻 2 号 p. 144-151

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抄録
ラットの両側黒質およびその黒質GABA投射路 (両側脚橋核・上丘) にGABA agonistであるmuscimolを微量注入し, その後のpentylenetetrazol (PTZ) 誘発けいれんに及ぼす影響を検討した。その結果, 黒質へmuscimolを注入するとPTZけいれんの発展が有意に抑制された。一方, 脚橋核にmuscimolを注入した群ではけいれんの発展は有意に促進されたが, 上丘では変化を認めなかった。また, 脚橋核へGABA antagonistであるbicucullineを注入した場合は, 逆にPTZけいれんは有意に抑制された。以上のことから, けいれん発作の発現と伝播に対するGABAの作用には部位差があり, 特に黒質と脚橋核を結ぶGABAニューロンが重要な働きをしていることが示唆された。
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© 日本てんかん学会
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