抄録
Wistar系雄性ラット9匹を用い, 右背側海馬刺激による電気キンドリングを作成した。完成したキンドリングラットにベメグリド5.5mg/kgを腹腔内投与し, 金網による拘束ストレスが, ベメグリド投与後に出現する痙れん発作, および発作性放電に及ぼす影響について検討した。その結果, 拘束ストレス負荷時にはべメグリド投与によって生ずる大脳皮質からの突発性律動波と, それに伴う頭部, 体幹の間代性痙れん発作はストレス負荷前に比べて有意に減少したが, 背側海馬からの散発性の発作性放電は有意に増加した。また拘束解除直後には大脳皮質からの突発性律動波, 臨床発作および背側海馬からの発作波はいずれも一過性に著しく減少したが, その後は再び増加した。以上の結果, ストレスは大脳皮質からの発作波の出現に対しては覚醒作用を介して抑制的に, 一方背側海馬のそれに対しては情動的刺激として促進的に作用しているものと思われた。