てんかん研究
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抗てんかん薬治療における初期治療効果の臨床的意新義
とくに側頭葉てんかんの長期予後と治療定問題をめぐって
和田 一丸
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1991 年 9 巻 2 号 p. 154-160

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抄録
10~20年間にわたって治療経過を観察し得たてんかん患者161例について, 治療開始後定最初の2年間での治療効果 (初期治療効果) を判定し, 長期予後との関係について検討した。その結果, 初期治療効果と予後と定間に有意な相関関係を認めた。特発性全般てんかんでは, 初期治療効果が良ければ予後も良く, とくに最初の2年間に発作が完全に抑制された例の発作消失率は高かった。側頭葉てんかんでは, 初期治療効果不良, 予後不良の例が多かったが, とくに治療開始後2年目の発作頻度が月1回以上の例や, 外因, 合併障害を有する例の予後が不良であった。それ以外の症候性局在関連性てんかんでは, 初期治療効果良好例で予後が良く, 初期治療効果不良例では予後が不良であるという関係が明瞭であった。治療初期における長期予後予測の可能性について述べ, 難治てんかんの治療について考察した。
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© 日本てんかん学会
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