教育・社会心理学研究
Online ISSN : 1884-5436
Print ISSN : 0387-852X
ISSN-L : 0387-852X
集団規範の研究 (II)
看護学院生の帰寮時刻に関する調査研究
佐々木 薫
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 5 巻 1 号 p. 75-85

詳細
抄録

1. 全寮制を採っている一高等看護学院の全学生64名を対象に質問紙調査を実施して, 寮の門限に関する非公式な規範, 学院生活の諸側面に対する態度その他を測定した。
2. 門限に関する規範はreturn potential modelを用いて学年別に分析された。分析の結果: 規範の密度は, 学年の上昇と共に増大を示した (とくにに1年生~2年生間が顕著)。規範の虚構性は, 1年生~2年生間で著しい減少, 2年生~3年生間で再び若干の増大を示した。規範の結晶度は1年生~2年生間で上昇し, 2年生~3年生間で再び低下した。
3. 学年の上昇 (集団所属期間の増大) がもたらす 〔学年subgroupの〕 規範の安定化ならびにその後の不安定化への傾斜という現象について, 他の資料を総合した考察がなされた。とくに後者 (不安定化への傾斜) については, 集団内地位の上昇に伴う判断の独立性および集団所属終期 (卒業) への接近に伴う心理的動揺による解釈が試みられ, その際, この種の集団, すなわち, 一般に教育訓練を目的とし, 一定期間所属の後にそれからの離脱が予定されているような公式集団の特殊性が注目された。

著者関連情報
© 日本グループ・ダイナミックス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top