教育・社会心理学研究
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脳性マヒ者の心理学的リハビリティション
I. 弛緩行動について
成瀬 悟策
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1967 年 6 巻 2 号 p. 135-148

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抄録
脳性麻痺に基本的な行動特徴としてみられる過度緊張を解消, 軽減させるものとして, 弛緩行動というものを考え, それをもたらすための有効な方法としての催眠による弛緩効果を, 筋電図その他の指標によって確かめるとともに, 充分な弛緩は, 催眠に限らず, 覚醒のままでも, 体系的に弛緩を進めれば, それが可能であることを明らかにした。しかも, 一時的な弛緩だけでなく, それを持続させ, あるいは, 任意に弛緩できるようにするためには, 弛緩行動の学習がなされねばならず, それには弛緩感覚の獲得と, 自己弛緩の学習が必要なこと, および, そのための手続きの幾つかを資料とともに述べた。
また, こうした弛緩に伴なって明らかになった問題として, 脳性麻痺と呼ばれる運動的disabilityに二種類が区別され, ことにprimary disabilityの判定が機能訓練には大切なこと, およびsecondary disabilityの最も特徴的なものとして定型化成が挙げられ, この定型のblockingが弛緩行動のためにも, その後の機能訓練にも重要なことが述べられた。
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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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