教育・社会心理学研究
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6 巻, 2 号
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  • 関 計夫, 関 雅子
    1967 年 6 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 三隅 二不二, 河津 雄介, 武田 忠輔
    1967 年 6 巻 2 号 p. 111-123
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は組織体内における監督者のPM式監督方式 (部下の認知より類型化した) が, 組織体の目標達成および部下の意見, 態度にいかなる影響を及ぼしているかを明らかにしたものである。
    調査対象は福岡県下および山口県の一部に25支店をもつ某銀行の一般行員256名。昭和40年9月に実施した。
    A. PM式監督類型と生産性との間には次のような関係がみられた。
    1. 従来の研究と同様に, 本研究でも, 高生産群にPM型の監督が多く, 低生産群にpm型の監督者が多いという傾向がみられた。
    2. しかし, 従来の研究と比較して, P型, M型の監督者が少なかった。これは銀行企業体のもつ特性であろうと考察された。
    3. 低生産群に属するPM型の監督者の特性を高生産群に属するPM型の監督者の特性と比較検討した結果, 上役に対する敵意感情が低生産のPM型において有意に高いことが明らかになった。
    B. PM式監督類型と他の諸変数との間には次のような関係がみられた。
    4. R・リッカートのいう監督者の支持的行動も, PM型の監督者において最も高く, P, M, pmの順位となる。
    5. 会議や集会の運営の仕方も, 相対的にPM型の監督者の下で部下の評価が最も高く, pm型の監督者が最下位の評価であった。P, M型は両者の中間の評価であった。
    6. 上役に対する敵意感情と監督類型との関係では, M型の監督者の下で敵意感情が最も低く, 次にPM, P型で, pm型が最も高かった。
    7. いわゆるモラールと監督類型との間には統計的に有意な関係はみられなかったが, 傾向としてpm型が最も低かった。
    8. 職務・権限委譲過程では, PM型が職務達成にとって, 最も効果的な委譲をおこなっている。
    これに対照して, pm型は職務, 権限の委譲が著しく低く, 部下には成果の報告を厳しく要求していることが見出された。このことがpm型において最も高い敵意感情を部下に生起させているのであると解釈する。P型とM型はPMとpmのほぼ中間の傾向を示したが, 達成基準の明示においてP型が最も高く, 成果の報告の過程においてM型が最も低いという傾向がみられた。
  • 三隅 二不二, 篠原 弘章
    1967 年 6 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1) 集団決定に参加後6ヵ月間に, 集団決定に参加した45名の運転手の事故率は, 約3分の1に減少した。さらに10ヵ月間においては, 5分の1に減少した。
    2) 集団決定参加者が, 職場からグループで参加した場合と準単独で参加した場合で, 事故減少率に明らかな差異が見いだされた。集団参加群 (34名) は, 集団決定後6ヵ月間で決定前6ヵ月間の7分の1, 10ヵ月後で決定前10ヵ月間の約9分の1の減少率を示したが, 準単独参加群 (11名) の場合は集団決定前後6ヵ月間で差異がなく, 決定後10ヵ月間で決定前10ヵ月間の約3分の2の減少率であった。
    3) 集団決定参加者45名全員について事故の自然減少率を考慮した場合は, 集団決定の効果として,
    a) 集団決定前後6ヵ月間の事故の比較において, 15件の事故のうち4件が, 自然減少率を減却した残差であり, 集団決定の効果として考察される。
    b) 集団決定前後10ヵ月間の比較においては, 30件のうち, 17件の事故が自然減少率を減却した残差であり, 集団決定の効果として考察される。
  • I. 弛緩行動について
    成瀬 悟策
    1967 年 6 巻 2 号 p. 135-148
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺に基本的な行動特徴としてみられる過度緊張を解消, 軽減させるものとして, 弛緩行動というものを考え, それをもたらすための有効な方法としての催眠による弛緩効果を, 筋電図その他の指標によって確かめるとともに, 充分な弛緩は, 催眠に限らず, 覚醒のままでも, 体系的に弛緩を進めれば, それが可能であることを明らかにした。しかも, 一時的な弛緩だけでなく, それを持続させ, あるいは, 任意に弛緩できるようにするためには, 弛緩行動の学習がなされねばならず, それには弛緩感覚の獲得と, 自己弛緩の学習が必要なこと, および, そのための手続きの幾つかを資料とともに述べた。
    また, こうした弛緩に伴なって明らかになった問題として, 脳性麻痺と呼ばれる運動的disabilityに二種類が区別され, ことにprimary disabilityの判定が機能訓練には大切なこと, およびsecondary disabilityの最も特徴的なものとして定型化成が挙げられ, この定型のblockingが弛緩行動のためにも, その後の機能訓練にも重要なことが述べられた。
  • 教育分析の経験 (3)
    前田 重治
    1967 年 6 巻 2 号 p. 149-172
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
  • 快・不快の次元よりみたリーダーシップの感情値測定
    河津 雄介
    1967 年 6 巻 2 号 p. 173-184
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高等看護学校の女子学生30名が, 看護実習のさいの自分達の監督者の行動を, PM式リーダーシップ測定方式によって評定した。評定のタイプわけによってPM, P, M, pmの4つの群にわけられた。一方, 監督行動のもつ感情値が快・不快の次元より測定された。
    1. PM型の監督者とP型の監督者を比較した場合, P機能としての監督行動の程度では同じであるにもかかわらず, P機能のもつ感情値が, PM型の監督者の場合においてより快とみられている。同じことが, M型とpm型の監督者の比較においてもいえる。
    2. そのような感情値がM機能としての監督行動の程度によって規定されていることが明らかになった。
    3. つまり, M機能的監督行動はP機能の感情値を高めることでP機能の効率を高めている。これが従来からいわれて来たM機能の触媒効果であると考えられた。
  • 田崎 敏昭
    1967 年 6 巻 2 号 p. 185-194
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 課題の評価という状況で, ある個人の判定が, 与えられたstandardと一致した課題, 不一致であった課題, 並びに, 課題の再評価の際, standardに同調した課題, 非同調であった課同, 等の間にみられる課題想起率の差異を問題にして行なった実験の報告である。小学校6年生114名 (男女) を被験者として, 3枚1組の絵18組の評価を行なわせた。次に、「先生の判定」, 「小学校6年生の判定」のinformationを与え, 再評価を行なわせた。この手続から, 一致課題, 不一致課題, 同一課題, 同調課題, 非同調課題を分類した。評価後, 約25分たったところで, 評価した絵の題を思い出してもらった。その結果次のようなことが明らかになった。
    1. 一致課題より不一致課題の題名想起率が高かった。
    2. 同一課題, 同調課題, 非同調課題の間で想起率を比較すると, それは, 同一課題, 同調課題, 非同調課題に順に高くなった。
    以上の結果をZeigarnik等の研究と考え合わせると, 一致課題より不一致課題に対して評価者のconflitは大きく, したがって彼の内部緊張も高まっていることが予想される。また, 再評価の際, 与えられたにstandardに同調することはconflictを解消することであり, したがって, 個人の内部緊張もそれだけ軽減されるのだという考察が可能となる。
  • 大学進学コースをたどる者の集団的調査の結果から
    田中 弘子
    1967 年 6 巻 2 号 p. 195-211
    発行日: 1967/03/31
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    生き方の問題に宗教社会心理学的に接近する試みの一環として, 一中都市において大学進学コースをたどる女子青年の生き方が, 生活構造, 生きる上の支えおよび宗教観という三つの観点から, またその相互の関連から集団的水準において概観された。
    中学時代には高校受験準備やスポーツ・クラブ活動などに力を入れ, 学校に適応した無理のない生活をして来た者が多い。高校一・二年には, クラブ活動, スポーツ, 読書, 勉強, 交友などへ, 個性に応じた力の配分をしているが, 中にはクラブ活動に力を入れ過ぎて勉強を犠牲にした者がある。高校三年の現在及び卒業までの見通しにおいては, 多くの者が, 大学の受験勉強に焦点づけられた生活をしており, その結果, 娯楽その他を犠牲としている。この時期までは, 大学生においても変らない。高校卒業後4年間の見通しは, 進路に応じて, 勉強や学生生活, 人間形成, 娯楽, 職業, 結婚の問題に力を入れると予想され, その後の4~5年間は, 職業や結婚の問題に力を入れると予想されており, 以上8~9年間は, 特に犠牲にするものはないとされている。高校卒業後の見通しは大学生の方が分化している。いずれの時期においても, 娯楽と勉強以外の領域, たとえば人生問題などは, 犠牲意識を伴わずに無視されているのが一般的である。
    中学以来14~5年に及ぶ上記のような生活展望を通して目指されたものは, 第一に「強い・おおらかな・自制力のある・女性らしさのある」性格の形成であり, 第二に、「シンのある愛情深い・完全な」人間像の実現であり, 第三に「信頼できる, 相談できる友人」を得ることである。これに対して, 家庭, 職業, 社会に関するものは, それほど重要な目標とは考えられていない。なおこの点については, 高校生と大学生の間に, 生活構造の違いから来る差が見られる。
    高校生, 大学生とも, その生き方を支えていると本人によって考えられているものは, 多くの場合, 自分自身である。
    人生の目的・意義は「自己の完成又は満足」「社会に役立つこと」「その他」にあると考えられている。この点, 大学生の方が, 社会的な関心度が高い。
    生活目標, 生きる上のよりどころ, 人生の目的・意義の三者は, 本人の意識において必ずしも相互に関連したものではない。
    多くの者が無宗教であるが, 宗教, 殊にキリスト教に関心を持っている。家庭は, 仏教が過半数を占めるが実践度は低く, 残りは無関心による無宗教である。この点, 本人と家庭との対応関係は見られない。
    宗教, 殊にキリスト教に対しては, 主観的な期待とともに, 主観を中心とした否定的な宗教観を持っている。彼らが信仰をもたない理由は「宗教によりすがらなければ生きてゆけないような大きな困難にまだぶつかっていないので, その必要がない。宗教は逃避であり, 感傷, 自己満足, 非現実的なものにすぎない。宗教に束縛されるよりも, むしろ自分を信じ, 主体的・積極的に現実に対処してゆくべきである」と考えるからであり, これに対して, 無宗教に近い状態にある家庭及び地域社会一般が, 支持的に影響していると考えられている。無信仰者のうち, 過去に信仰の経験のある者は, 外部的・周辺的理由から信仰を棄てた者が多く, この体験は今後の信仰の予想において, 少なくとも阻止的ではない。
    現在信仰している者の入信の理由は年令によって異なるが, いずれも, 多くの場合, 具体的な人による影響がある。
    多くの場合, 信仰は生きる上のよりどころとなっているが, その程度は, 入信の理由によって多少異なる。
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