教育・社会心理学研究
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親子関係の臨床心理学的研究
土井良 聆維子
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1967 年 7 巻 1 号 p. 91-97

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抄録

心理的なものが主原因である病気の子供をもつ母親 (P群) の子供に対する行動は, そうでない母親の行動とどのように相異するかを検討するために, 対象群として器質的疾病児をもつ母親の群 (O群) と正常児の母親の群 (N群) とをとった。被験者数は, P群33名, O群23名, N群64名の母親である。テスト用紙は田研式の親子関係診断テスト (両親用) を用いた。テストの項目分析の結果は, 100間中有意水準5%以下のものが32間, 10%以下のものが9問, 33間は有意差なし, 26間が検定不能であった。
I地帯に位するケースは, 2.5%以下の有意水準でP群, O群に多い。不一致型はP群に多く, 矛盾型はO群に多い。有意水準は前者が2.5%以下, 後者は10%以下であった。
内容分析の結果は, P群には盲従的服従と消極的拒否, 不安型の保護行動がみられ, O群こは溺愛的服従と不安型の保護行動がみられた。N群は, 積極的拒否行動と干渉型の保護行動がみられた。内容分析の有意水準は0.5%であった。
この内容分析を児童期対青年前期という観点から行なった結果は, O群, N群では幼・小群の方がかなり多かった。P群は中・高群に対してのみ支配的行動がみられた。O群は幼・小群も中・高群も同じようなとりあつかいをしている。N群は幼・小群と中・高群との間にはかなりの差異がみとめられた。

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© 日本グループ・ダイナミックス学会
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