抄録
遺伝子組換え(GM)作物の検知法では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の標的配列を保持するプラスミドDNAが陽性コントロールとして広く用いられている。プラスミドDNAのコンタミネーションによる偽陽性反応を排除するため、我々は標的配列中に制限酵素(BamH I)認識部位を含むように設計した定性PCR検知用の陽性コントロールを開発した。PCR産物へのBamH Iの直接添加で、GM米系統Shanyou63 (Bt63米)検知用のプラスミド(pBT63)を鋳型に用いた増幅断片は切断されるが、Bt63米のゲノムDNAを鋳型として用いた増幅断片は切断されなかった。これらの結果から、pBT63と同様の機能を有するプラスミドを陽性コントロールとして用いることで、陽性コントロールのコンタミネーションによる偽陽性を容易に識別することが可能となり、定性PCR法による検知法の判定に対する信頼性の向上に貢献出来ることが示された。