日本食品化学学会誌
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論文
食品添加物ブドウ果皮抽出物の含有成分のクロマトグラフィーによる評価
天倉 吉章好村 守生吉田 隆志多田 敦子伊藤 裕才山崎 壮杉本 直樹穐山 浩
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2015 年 22 巻 2 号 p. 108-114

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抄録

既存添加物名簿に収載されている製造用剤ブドウ果皮抽出物について、HPLCによる含有成分の検討を行った。エキス中の成分をカラムクロマトグラフィーにより分離し、分光分析法に基づき12種の化合物(tryptamine, syringic acid, vanillic acid, ethyl gallate, (+)-catechin, (-)-epicatechin, luteoliflavan, quercetin, quercetin 3-O-glucuronide, myricetin 3-O-glucoside, procyanidin B-1, procyanidin B-2)を単離、同定した。またHPLCにより、主アントシアニンとしてmalvidin 3-O-glucosideを認めた。一方、大きなブロードピークについては、proanthocyanidin Bタイプで構成される縮合型タンニンオリゴマー画分であることが示唆され、ゲル浸透クロマトグラフィーにより平均分子量を求めた結果、数平均分子量は5999.6、重量平均分子量は21287.7であった。ブドウ果皮抽出物製品中のプロアントシアニジン含量を、バニリン・硫酸を加えて呈色させる方法によりcatechin換算で2製品を定量分析した結果、約60%の含有率が算出され、測定可能であることが示唆された。

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© 2015 日本食品化学学会
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