抄録
ファジィ積分を用いた林道のり面の崩壊危険度判定モデルを,岐阜県内の民有林,京大和歌山演習林,滋賀県内のO林道,大分県内のH林道の4地域へ適用した。カテゴリースコアを固定した数量化2類による判別率は,これらの地域へ適用した場合にかなり低下した。一方,ファジィ積分を用いた場合には,判別率の低下はわずかであった。この結果,数量化2類による判別モデルの精度は,切取のり面で62.3%,盛土のり面で74.3%と推定され,ファジィ積分による判別モデルの精度は,切取のり面で69.8%,盛土のり面で75.5%と推定された。さらに,ファジィ積分による方法では,要因の重視度の変化や,必要性係数の値に応じた要因の選別が可能なため,柔軟性の高いモデルを構築することができた。