抄録
音の大きさ(75dB(A),80dB(A),85dB(A))を変えた残響特性の異なる5基準音下の被験者17名に一位数加算テストを行わせ,テスト中の脳波,心拍数を測定した。この結果,音が大きいほど正解数は少なくなり,β波の減少,θ波,心拍数増加率,心拍変動係数(CV-RR)の増加がみられた。残響特性は,無音時に対する有音時(75dB(A))の生理応答の比で検討した結果,残響時間が特に長い音と特に短い音でβ波,CV-RRが減少,θ波が増加する傾向を示した。これらより,大きな音では繰り返し実験音の単調感が強く印象づけられ,緊張感,集中力が低下すること,残響時間が特に長い音と特に短い音で集中力が低下することが分析された。