抄録
幹線道路の路線選択には,多くの定性的あるいは定量的な評価対象要因があり,客観的で適正な総合判定は容易でない。そこで,ファジィ理論の総合評価法を適用して,最良の路線選択情報を得ようと試みた。ここでは,4本の比較路線に対して,概算による経済性指標,予備測量における技術性指標,施工・維持管理指標に関する指標で総合的評価をおこなった。各比較路線に対するファジィ理論の総合評価は「優れた」に帰属するグレードがD線0.219,E線0.397,F線0.192,G線0.203であった。また,「劣った」に帰属するグレードではE線が最も低く,E線が他の比較路線より卓越していることを定量的に証明した。本研究をとおして,比較路線の中から採用するにふさわしい路線を決めることにおいて,定量的・定性的な要因を含めた総合的比較検討にはファジィ理論の適用が可能であり,かつ有効であることを示した。