タワーヤーダによる集材では,上げ荷集材か下げ荷集材かという集材方向の問題が,路網整備との関係においても重要である。本研究では,パワーショベルを改造した簡易タワーヤーダを上げ荷集材だけでなく下げ荷集材にも適用することにした。それによって,集材功程,集材時のトラブル,作業者の労働負担について,上げ荷集材の場合と比較検討し,この簡易タワーヤーダの下げ荷集材への対応能力を検証した。その結果,両集材地では地形条件の違いも見られたが,下げ荷集材の集材功程は,上げ荷集材の61.4%と大きく低下することが示された。トラブルの発生頻度も「材掛かり」において下げ荷集材の方が上げ荷集材よりも高かった。架設・撤去に要する時間は,上げ荷集材の方が下げ荷集材よりも短かく,「索の引き回し」の労働負担も,下げ荷集材の方が上げ荷集材よりも大幅に大きくなることが明らかになった。以上のことから,このタワーヤーダは,下げ荷集材にも適用可能であるが,集材功程,集材時のトラブル,作業者の労働負担などの側面から見て,上げ荷集材に比べてかなり不利になることが示された。
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