森林利用学会誌
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12 巻, 3 号
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論文
  • 潘 暁東, 後藤 純一, 郭 彪, 山本 誠
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 3 号 p. 163-172
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    幹線道路の路線選択には,多くの定性的あるいは定量的な評価対象要因があり,客観的で適正な総合判定は容易でない。そこで,ファジィ理論の総合評価法を適用して,最良の路線選択情報を得ようと試みた。ここでは,4本の比較路線に対して,概算による経済性指標,予備測量における技術性指標,施工・維持管理指標に関する指標で総合的評価をおこなった。各比較路線に対するファジィ理論の総合評価は「優れた」に帰属するグレードがD線0.219,E線0.397,F線0.192,G線0.203であった。また,「劣った」に帰属するグレードではE線が最も低く,E線が他の比較路線より卓越していることを定量的に証明した。本研究をとおして,比較路線の中から採用するにふさわしい路線を決めることにおいて,定量的・定性的な要因を含めた総合的比較検討にはファジィ理論の適用が可能であり,かつ有効であることを示した。
  • マクドナ マイルス, 猪内 正雄
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 3 号 p. 173-182
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    伐採面積の小規模化,要間伐林分の増加,林業労働力の減少などの条件が進むなかで,特に傾斜地におけるタワーヤーダおよびプロセッサによる全木集材の有効性が大きくなっている。宮城県登米町における2か所の間伐集材作業を分析した結果,プロセッサ作業に待ち時間が生じることがわかった。この待ち時間による集材コストの増加は,たとえば,集材距離60mの列状間伐作業の場合,1時間あたり2,500-3,000円になるものと試算された。この問題を解決するには,1人のオペレータによって運転可能なリモートコントロール式ハイブリッド形タワーヤーダの開発が必要と考えられる。この新しい機械の経済効果を試算したところ,機械の価格を現在のタワーヤーダとプロセッサの合計価格より約25%安い2,500万円と仮定すると,集材コストは現在よりも26%安くなることがわかった。このハイブリッド形タワーヤーダをより有効に利用するには,スパンが100m以上で,しかも適当な広さの土場が必要である。また,従来と異なる複雑な機械を導入した場合の運転訓練や新しい作業システムになれるまでの能率低下などによる経費の増加も考慮する必要があろう。
  • 豊川 勝生, 山田 容三, 広部 伸二, 上村 巧, 今冨 裕樹, 鹿島 潤
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 3 号 p. 183-192
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    ホイールグラップルスキッダを用いた集材作業について検討したが,材つかみ時間が全作業時間中4.6%のみであるため,従来のウインチスキッダ作業と比べ高い作業能率を示した。作業中のオペレータの平均心拍数は84拍/分で,生理的負担は軽く,最高心拍数は,後方を注視する材つかみ時に生じた。スキッダの主な前方注視野内妨害物は,キャビン,ボンネット,排気管であった。オペレータは排土板とタイヤをよく見ていたが,その立体角は小さい。「材つかみ」時の伐倒材や「実車走行」時の牽引材の後方確認は,グラップルスキッダの座席が右前へ17°傾いているため行いやすいが,体をひねる後向き操作が全作業時間の55.8%にもなった。スキッダ座席上の3方向の振動は,ISO基準の疲労減退曲線のレベル以下であった。オペレータ耳元騒音は,空車後進時,実車時で騒音レベルが高く,1〜4KHzで日本産業衛生学会の基準レベルを超えていた。この等価騒音レベルは80〜93dB(A)で,労働安全衛生規則の基準を超えるものもみられた。スキッダのレバー,ペダルの配置は,すべてJIS規格の適切な操作範囲内に配置してあった。スキッダのステップ高は推奨値より高いため,オペレータは乗降時に無理な姿勢を強いられていた。
  • 佐々木 重樹, 吉村 哲彦, 山本 俊明, 沼田 邦彦, 神崎 康一
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 3 号 p. 193-202
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    タワーヤーダによる集材では,上げ荷集材か下げ荷集材かという集材方向の問題が,路網整備との関係においても重要である。本研究では,パワーショベルを改造した簡易タワーヤーダを上げ荷集材だけでなく下げ荷集材にも適用することにした。それによって,集材功程,集材時のトラブル,作業者の労働負担について,上げ荷集材の場合と比較検討し,この簡易タワーヤーダの下げ荷集材への対応能力を検証した。その結果,両集材地では地形条件の違いも見られたが,下げ荷集材の集材功程は,上げ荷集材の61.4%と大きく低下することが示された。トラブルの発生頻度も「材掛かり」において下げ荷集材の方が上げ荷集材よりも高かった。架設・撤去に要する時間は,上げ荷集材の方が下げ荷集材よりも短かく,「索の引き回し」の労働負担も,下げ荷集材の方が上げ荷集材よりも大幅に大きくなることが明らかになった。以上のことから,このタワーヤーダは,下げ荷集材にも適用可能であるが,集材功程,集材時のトラブル,作業者の労働負担などの側面から見て,上げ荷集材に比べてかなり不利になることが示された。
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