2000 年 15 巻 1 号 p. 25-32
スギの若齢間伐林分における人力でのかかり木処理方法として,予定伐倒方向側への引き倒し(方法A)および樹幹の回りに回転(方法B)の2種類の方法について比較検討した。樹冠の接触抵抗の平均値は方法Aで30.0kgf,方法Bで14.1kgfであり,方法Aでは枝や樹幹のたわみによる抵抗が大きいと推定された。さらに方法Aでは回転中心から接触抵抗の作用線までの距離が長いため,樹冠の接触抵抗モーメントの平均値は方法Aが193.5kgf・m,方法Bが4.2kgf・mと,方法Aで非常に大きな値を示した。以上のことから,柄の長い処理器具を用いて樹幹上部に力をかけて伐倒方向側へ引き倒したり,木廻し用フックの付いたレバーなどを用いて樹幹回りに回転させて処理するなど,軽量の補助器具を効果的に使用することが有効であると結論された。