森林利用学会誌
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論文
高密度道路網を基盤とする機械化間伐作業林分における土砂流出について
吉幸 朗長澤 喬森田 紘一中尾 博美
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2001 年 16 巻 3 号 p. 191-202

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抄録
高密度路網を基盤として機械化間伐作業が実施された林分の渓流の濁度変化について検討した。降雨直後の濁度上昇の速まりと濃度の高まりが認められた。その原因として,道路開設や作業の実施などに伴い形成されたと考えられる道路を起源とする流路を取り上げ,その形成の過程と働きについて考察を加えた。道路の新設と重車両の繰返し走行によって生産された不安定土砂が路面表流水によって運搬され,排水施設や崩壊した路肩から林内に流入する。リターによる扞止や緩勾配箇所での流入土砂の堆積が林床の浸透能の低下をきたし,後続の土砂流の成長を助長すると考えた。林床に形成された流路を介して,周辺の地表流と浅層の地中流が短時間に渓流へと流入する。雨水流出の遅延,流量の平準化という森林の水保全機能の低下とともに土砂流出という好ましからざる影響を及ぼすことが危惧される。高密度路網の開設に際しては,適切な路線設計と排水施設の配置・機能の維持が望まれる。
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© 2001 森林利用学会
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