森林利用学会誌
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16 巻, 3 号
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論文
  • 松村 哲也, 井上 裕, 新田 隆三
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 181-189
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    プロセッサやハーベスタに代表される林業機械の外装塗色には,一般に誘目性が高い赤,黄赤,黄といった色彩が多く採用されている。こうした塗色を適切に用いることで周囲の人間に対して色彩による注意喚起を促し,災害予防効果も期待できるが,使用に際してはJISに記載されるように周囲の状況を考慮に入れた配色が重要である。また,バリアフリーの観点からは,標準色覚特性以外の特性下においても十分な誘目性の確保が望ましい。高性能林業機械の写真画像を元に,周囲の状況およびボディ外装塗色を構成する色彩情報を抽出し,色彩間のCIE-L^*a^*b^*色差をLおよびM錐体感度を変化させながらより効果的な色彩配色を検討した。その結果,「赤」対「緑」など標準色覚下では容易に分離できると感じられる有彩色の組み合わせでも,標準とは異なる色覚特性下では分離性が大きく悪化してしまうことがあるが,ほとんどの色彩項目に対して良好な分離を示した無彩白色を境界色として,赤(白)緑のように間隙に配置することで主色彩問の分離性を確保できるとの知見を得た。応用上,色彩による物体識別のバリアフリー化に有効な方策であると考えられる。
  • 吉幸 朗, 長澤 喬, 森田 紘一, 中尾 博美
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 191-202
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    高密度路網を基盤として機械化間伐作業が実施された林分の渓流の濁度変化について検討した。降雨直後の濁度上昇の速まりと濃度の高まりが認められた。その原因として,道路開設や作業の実施などに伴い形成されたと考えられる道路を起源とする流路を取り上げ,その形成の過程と働きについて考察を加えた。道路の新設と重車両の繰返し走行によって生産された不安定土砂が路面表流水によって運搬され,排水施設や崩壊した路肩から林内に流入する。リターによる扞止や緩勾配箇所での流入土砂の堆積が林床の浸透能の低下をきたし,後続の土砂流の成長を助長すると考えた。林床に形成された流路を介して,周辺の地表流と浅層の地中流が短時間に渓流へと流入する。雨水流出の遅延,流量の平準化という森林の水保全機能の低下とともに土砂流出という好ましからざる影響を及ぼすことが危惧される。高密度路網の開設に際しては,適切な路線設計と排水施設の配置・機能の維持が望まれる。
  • 毛綱 昌弘
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 3 号 p. 203-210
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    傾斜地における車両の登坂性能の向上を目的として,軌跡および荷重制御機能を有するナックルブームを用いた登坂方法について,試作車両を用いた走行実験を行った。走行方法は,ブーム先端部を谷側斜面に接地させた状態を保ちながら走行することにより,走行装置に作用する接地圧の不均衡を改善しながら走行する方法と,ブーム先端部を地面に固定した状態で,谷側斜面方向に荷重を作用させながら走行することにより,トラクションと荷重を組み合わせて登坂走行する方法である。走行実験の結果,通常走行では登坂不可能な傾斜面を走行できるようになったことから,どちらの方法とも登坂性能の向上に有効であることが確認できた。しかし,ブーム先端部の接地荷重を大きくしすぎると走行装置のトラクションが小さくなることから,傾斜角に応じて先端部荷重を適正化する必要がある。このことから,このブームを用いた走行方法を有効に機能させるためには,ナックルブームには軌跡および荷重制御機能を付加し,傾斜などの情報を用いて適正化された値を制御目標値として入力する必要があることが確認できた。
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