プロセッサやハーベスタに代表される林業機械の外装塗色には,一般に誘目性が高い赤,黄赤,黄といった色彩が多く採用されている。こうした塗色を適切に用いることで周囲の人間に対して色彩による注意喚起を促し,災害予防効果も期待できるが,使用に際してはJISに記載されるように周囲の状況を考慮に入れた配色が重要である。また,バリアフリーの観点からは,標準色覚特性以外の特性下においても十分な誘目性の確保が望ましい。高性能林業機械の写真画像を元に,周囲の状況およびボディ外装塗色を構成する色彩情報を抽出し,色彩間のCIE-L^*a^*b^*色差をLおよびM錐体感度を変化させながらより効果的な色彩配色を検討した。その結果,「赤」対「緑」など標準色覚下では容易に分離できると感じられる有彩色の組み合わせでも,標準とは異なる色覚特性下では分離性が大きく悪化してしまうことがあるが,ほとんどの色彩項目に対して良好な分離を示した無彩白色を境界色として,赤(白)緑のように間隙に配置することで主色彩問の分離性を確保できるとの知見を得た。応用上,色彩による物体識別のバリアフリー化に有効な方策であると考えられる。
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