森林利用学会誌
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論文
複層林の上木伐採にともなう残存木の損傷
近藤 道治今井 信
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 20 巻 3 号 p. 171-182

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抄録

上木カラマツ,下木ヒノキの複層林で,残存木損傷の少ない林型の複層林を検討するため,列幅の違う2種類の列状複層林と点状複層林で上木を伐採した。その結果,1残1伐列状複層林では上木に損傷は発生しなかったが下木の27.8%に損傷が発生した。3残2伐列状複層林では上木の5.3%に損傷が発生したが,下木の損傷は0.7%にすぎなかった。一方,点状複層林では,上木の12.3%,下木の39.3%に損傷が発生した。残存木の損傷は上木,下木ともに列状複層林の方が点状複層林より少なく,損傷形態も軽微なものが多かった。また,1残1伐列状複層林と3残2伐列状複層林で下木の損傷率を比較すると,3残2伐列状複層林の方が少なかった。今回の調査結果を踏まえ,次回の上木伐採を考えると,上木を3列以上残す列状複層林が,もっとも残存木損傷の少ない複層林施業法といえた。

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© 2005 森林利用学会
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