本研究は,間伐補助金を導入しない場合の,利用間伐により発生する森林バイオマスのポテンシャル量を,国産材価格を考慮して推定することを目的とした。さらに,3タイプ6種類の補助金を想定し,補助金の導入が森林バイオマス搬出可能量に与える影響を検討した。森林バイオマスのポテンシャル量については,利用間伐の実施可能性を判定するために4つの条件を設定し,その条件下で材価と費用を比較して利用間伐の実施可否を判定し,森林バイオマス搬出可能量を推定する手法を開発した。本手法を対象地域である愛知県北設楽郡東栄町に適用した結果,平成13〜16年度において利用間伐地に発生する森林バイオマスのポテンシャル量はごくわずかであると推定された。対象地域では搬出距離が長く,主な用材が材価の安いスギであることから,搬出可能割合が低かったためであると考えられた。補助金を導入する場合では,森林バイオマス搬出可能量の変化の傾向が,全間伐木を全木集材する場合と用材のみを全木集材する場合で異なることが明らかとなった。