森林利用学会誌
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論文
林業機械作業への習熟モデルの適用と技術習得プロセスの分析
山口 浩和岡 勝鹿島 潤毛綱 昌弘陣川 雅樹加利屋 義広
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2016 年 31 巻 4 号 p. 155-

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抄録

林業機械や油圧ショベル等の機械を操作したことがない未経験のオペレータ4 名を対象に,グラップルローダを使った丸太の荷役作業における習熟過程を追跡調査した。1車両分の丸太積みおろし作業にかかる作業所要時間は経験時間とともに減少し,その習熟は決定係数0.9以上で対数線型習熟モデル式に近似された。観察数が習熟モデルの精度に与える影響を調べた結果,各オペレータに対して5回以上の作業の観察を行うことで平均予測誤差率10%程度の習熟モデルが得られることが分かった。次に,機械の動作計測手法を用いて機械操作における技術的な変化を計測し,習熟に関わる要因について分析した。作業開始から経験時間5〜6時間頃までは,機械操作方法の理解と機械の動作特性への慣れが習熟の大半を占めたと考えられ,経験時間20時間頃までは顕著な技術的変化は確認できなかった。しかし20時間を超える頃から同時操作時間の割合が大きく増加するなど操作技術の向上が確認された。丸太の中心付近を掴む等の作業方法の習得やポンプで発生させた圧油の利用率の向上などは作業経験とともに徐々に進んだ。このように林業機械作業の習熟は,機械操作技術,作業方法等,複合的な技術レベルの向上によるものであると言える。

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