森林利用学会誌
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論文
ドリル・エンドミル搭載型立木伐倒マニピュレータの開発
白井 裕子松尾 雄希
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2017 年 32 巻 2 号 p. 59-69

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抄録

日本では立木を伐り倒す作業で多くの死傷者が出る。しかしそれに対して日本では日本山林・林業の実情に応えた技術開発がほとんど行われていない。特に大径木はチェーンソー伐倒しか方法がなく危険である。そこで本研究はこのマニピュレータを開発することで,新たな伐倒プロセスを提案することを目的とする。大径木の伐倒を目標とする。ここで日本の伝統技能である三ツ紐伐りをエンドミルで行うマニピュレータを考案した。このマニピュレータの刃物として,エンドミルにドリルの機能を付与した特殊刃物と,刃物に合わせたスピンドルブロックを開発した。エンドミルの刃長は,鋸断面の半径分とし,アームの直動の動きだけで,3 つの弦を残して空隙を切り取ることができる機構を開発した。エンドミルの回転動力として,エンジンを採用し,アームの姿勢に関わらず,常に先端のエンドミルにエンジンの回転動力が伝わる機構を開発した。そしてこのマニピュレータを操縦し,三ツ紐伐りの3 つの弦を残して,幹を切削する制御プログラムを開発した。このマニピュレータシステムを用いて,作業現場で立木を伐り倒す実証試験を行い,作業の安全性を評価し,提案の有効性を示した。本論の目的は新しいメカニズムの考案と,そのフィージビリティスタディである。

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