天然更新施業は,再造林コストの低減や再造林放棄の拡大防止に寄与する可能性を持っている。カラマツ(Larix kaempferi (Lamb.) Carriere)天然更新施業に関しては,更新誘導に関する研究は行われているが,育林過程における報告は少ない。天然更新した林分では,立木配置や径級のバラつき等が予測できず,伐採等作業を行う上で,生産性や収益性にどのような影響があるかも明らかでない。本研究ではカラマツ天然更新林分の構造が搬出間伐に及ぼす影響を調査し,その収益性を検討することを目的とした。調査の結果,人工植栽区に比べて天然更新区では立木配置がランダムである一方,立木の直径階のバラつきと平均直径の差には,天然・人工の両プロットにおいて有意差は認められなかった。列状間伐作業時の生産性は全体的に人工植栽区で高く,システム労働生産性は,天然更新区で4.58 m³/人日,人工植栽区で5.20 m³/人日となった。伐倒工程では,要素作業「選木・列の確認」において,天然更新区で時間を費やしていた。一方,出材量および選木結果,径級ごとの価格を考慮すると,主作業費に対する収益の割合は,天然・人工で同程度であった。