本論文では,木質バイオマス発電用材の不足を補うために,広葉樹林を燃料用材として供給するための手法の開発とその収益性を検討した。この手法は1つの架線内の広葉樹林と針葉樹林を同時に伐採・集材するシステムである。針葉樹林の一部は建築用材とし,残りは広葉樹とともに燃料用材とする。このシステムでは,集造材作業の生産性は,皆伐で実現されると推定される生産性の上限の水準にあって針葉樹林の伐採比率が30%以上であれば,針葉樹林の再造林費用を賄いうる。また,同時伐採方式の収益の基本的な動向は2つの要素,すなわち,広葉樹林伐採面積に関わる限界利潤および架線内の針葉樹林を皆伐したときに得られる収益に規定されることが明らかとなった。