森林利用学会誌
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34 巻, 1 号
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特集巻頭言
総説
速報
  • 藤野 正也, 栗山 浩一
    2019 年 34 巻 1 号 論文ID: 34.17
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    多くの林業事業体が現場の進捗管理や労働生産性を向上させるため,その日の作業内容や作業量を記入する「作業日報」を導入している。これらに基づいて算出された素材生産性等の数値は,現場作業や行政において重要な指標として扱われている。本研究は作業日報の記録内容や利用方法について現状を把握し,作業日報を効果的に利用するための方向性を検討するため,31 都道府県574 林業事業体に対してアンケート調査を行い,263 事業体から回答を得た。調査結果から,作業日報の様式も利用方法も多様性に富んでいることが明らかとなった。また,進捗管理および生産性分析の実施が作業日報の集計・分析の有無に影響を及ぼしていると考えられた。さらに,作業日報の様式と利用方法に関連性は見られなかった。このため,このように作業日報の利用目的に応じて作業日報の様式も使い分けることが必要であり,これが実現できれば,各事業体が必要とする情報を過不足なく収集できると考えられる。そうなることで,林業界として様式をある程度,共通化できると考えられる。

研究・技術資料
論文
  • 佐野 孝志, 仁多見 俊夫, 酒井 秀夫
    2019 年 34 巻 1 号 論文ID: 34.37
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    本研究は林業界の課題となっている竹林の放置・荒廃の問題に着目し,その利用によって地域資源として再生を図るべく,竹から乳酸発酵竹粉を製造する高性能機械を開発した。製造された竹粉は,300-400μm程度の粒度で,内部に多孔質を持ち,竹由来の乳酸菌が生息する。この乳酸発酵竹粉を農業資材としての効果の実証をし,売れる商品としてのビジネスモデルを構築した。機械の製造能力300tに対し,年間50t の製造販売で,販売価格を現在の市況価格300 円/kg を200 円/kg に下げても136万円の粗利となる。年間100t になれば年間747万円の粗利で,約2年で機械費1500万円が回収出来ることになる。竹林伐採(1次)・竹粉製造(2次)・竹粉販売(3次)の6次産業化を実践し,将来は工業製品までの用途開発を進めて,バイオマス活用の新事業創出による地域活性化に役立つ可能性があり,開発した機械はトラック搭載してモバイル機構化し,林道上で竹粉化処理も検討に値する。

  • -針葉樹との同時伐採方式の導入-
    福田 雄治, 鈴木 保志, 大崎 優, 飯國 芳明
    2019 年 34 巻 1 号 論文ID: 34.47
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    本論文では,木質バイオマス発電用材の不足を補うために,広葉樹林を燃料用材として供給するための手法の開発とその収益性を検討した。この手法は1つの架線内の広葉樹林と針葉樹林を同時に伐採・集材するシステムである。針葉樹林の一部は建築用材とし,残りは広葉樹とともに燃料用材とする。このシステムでは,集造材作業の生産性は,皆伐で実現されると推定される生産性の上限の水準にあって針葉樹林の伐採比率が30%以上であれば,針葉樹林の再造林費用を賄いうる。また,同時伐採方式の収益の基本的な動向は2つの要素,すなわち,広葉樹林伐採面積に関わる限界利潤および架線内の針葉樹林を皆伐したときに得られる収益に規定されることが明らかとなった。

速報
  • -伐倒方向とツルの作成精度について-
    飛田 京子, 上村 巧, 仁多見 俊夫, 吉岡 拓如
    2019 年 34 巻 1 号 論文ID: 34.57
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    伐倒技能の習得を目的とした模擬資材を使用したトレーニングの効果と課題を明らかにすることを目的とし調査を行った。模擬資材を使用したトレーニングを行わず技能評価テストのみを行う比較試験と,技能評価テストと模擬資材を使用したトレーニングを実施する効果検証試験の2 つの調査を実施した。技能評価テストでは伐倒方向・ツル幅・ツル高の作成精度について計測を行い評価した。伐倒方向を定める技能のみ,被験者の初期の技能レベルに関わらず,模擬資材を使用したトレーニングの効果が期待できることが分かった。一方,ツルの作成技能は伐倒方向を定める技能と同様の結果が得られなかったが,その原因として作業の結果と作業中の感覚を明確に結びつけるガンマークのようなツールがないことが関係していると考える。

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