森林利用学会誌
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論文
林業機械の接地圧を考慮した作業道路体強度の目標値の検討
宗岡 寛子 鈴木 秀典山口 智佐々木 達也猪俣 雄太山口 浩和
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2019 年 34 巻 2 号 論文ID: 34.99

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抄録

本研究は林業機械の接地圧を考慮し,作業道路体に求められる強度を明らかにすることを目的とした。そのために,バケット容量0.28 m3及び0.5 m3クラスの建設機械をベースマシンとする林業機械の接地圧を測定し,それが作業道盛土の法肩付近に作用した時に安全率が1となるための内部摩擦角及び粘着力を円弧すべり法により計算した。林業機械の接地圧分布は履帯長軸方向の変動が激しく,遊動輪,起動輪,転輪の位置で高かったが,二次元の安定計算法である円弧すべり法では,奥行方向(すなわち履帯の長軸方向)にはある程度の長さにわたり一定の力学状態が続くと仮定されている。そこで履帯の任意の位置における長さ1 mの区間の平均接地圧を求め,その最大値(履帯長1 mあたり平均接地圧)を林業機械の接地圧とみなして円弧すべり法を適用した。履帯長1 mあたり平均接地圧は林業機械の姿勢によって変化し,重心が最大偏心時の97%の位置にある時には155 kPaに達した。幅0.50 m,接地圧150 kPaの履帯が法肩から0.0 mの位置に載る場合,法面勾配1:1.2の盛土の安全率が1となるための内部摩擦角と粘着力の組み合わせは(10度,27 kN/m2),(20度,19 kN/m2),(30度,13 kN/m2),(40度,7 kN/m2)であった。

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© 2019 森林利用学会
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