2022 年 37 巻 3 号 論文ID: 37.149
本報では,安全性を確保しつつ広葉樹の伐出の生産性を向上させることを目的に,汎用性の高いフェラーバンチャ機構付きバケットを使った機械伐木手法を検討し伐木生産性等を求めた。また,造材工程においても同機および国内で一般的なプロセッサを使った造材生産性等を求めた。フェラーバンチャ機構のカッターの先で同じ高さで少しずつ切り進めて切断する複数切り型機械伐木手法では,安全性に関係する野外での人力作業時間の割合が通常のカッターにより一度で切断する一度切り型の24%から10%に減少するとともに,生産性が7.5 m3/人時から8.3 m3/人時に向上した。先行してチェーンソーにより受け口を作成しておき,カッターにより追い口をいれる受口先行型機械伐木手法では,人力作業時間割合が45%に増加し,労働生産性が5.4 m3/人時に減少するものの,建築等用材として商品価値の高い一番玉への損傷を抑えることができた。造材工程においては,本機の生産性が1.7 m3/人時と,プロセッサの生産性4.7 m3/人時に比べ低く,広葉樹の造材が困難であることを確認した。