2020 年 53 巻 2 号 p. 63-68
中川昌彦・田代直明:表土除去がカラマツの初期成長の推移に与える影響,森林計画誌53:63~68,2020 表土除去がカラマツの初期成長の推移に与える影響の調査を行った。北海道東神楽町の試験地では,植栽8年後の樹高,胸高直径は,表土を全く除去していない草刈地拵区と表土除去区の間に有意な違いはみられなかった。 北海道足寄町の試験地では,植栽5年後の樹高,胸高直径は,表土浅剥区で一番大きく,次いで表土を移動させてない草刈地拵区が大きく,表土深剥区で一番小さかった。これまで,表土を除去することでカラマツの初期成長が大きく低下すると報告されていたが,本研究の結果から,表土除去を行っても植栽5~8年後のカラマツの成長が低下することはない場合や,よくなる場合もあると考えられた。しかし,土壌を深く剥いで,植物の根が成育できる有効土層が極端に薄くなると,初期成長が大きく劣ると考えられた。