日本林學會誌
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唐木に就て
金平 亮三
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1938 年 20 巻 2 号 p. 56-66

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抄録

紫檀類
(1) 紫檀系統の唐木には紅木,紫檀,花櫚の3種がある,我國に輸入せられるもののうち紅木はその數量最も少く紫檀は漸減し花櫚がその大部分を占める。
(2) 紅木の本體はPterocarpus santalinus LINN. f.で僞材としてPterocarpus及びDalbergiaの兩屬の材が混入することがある。
(3) 紫檀は全てDalbergia屬で印度産はDalbergia latifolia ROXB. 交趾支那,シヤム産はDalbergia cochinehinensis PIERREである。
(4) 花櫚は全てPterocarpus 屬でシヤム産はPterocarpus indicus WILLD. 印度産はPtarocarpus marsupium ROXB. である。
(5) 紫檀と花櫚とを區別するには次の點を注意するとよい。
a) 紫檀は材色黒味がかり光澤強く黒又は暗褐色の條斑があり材堅重。髄線細胞は2又は3列,材の水浸液には螢光が無い。
b) 花櫚は材色に黄味が多く粗〓で稍輕軟。髄線は單列,水浸液に必す螢光がある。なほ紅木は花櫚と極めて似て居るが紫檀とはハッキリ區別が出來る。
黒紫檀
(1) 我國に輸入する黒檀は縞黒が一番多く價額が廉な爲め利用が廣まりつゝある,主としてマカッサル港から來るものでその本體はDiospyros Pumphii BAKH. である。
(2) シヤム地方から來る黒檀は青黒で極めて重く甚だ堅緻,その本體はDiospyros mollis GRIFF. である。
(3) 本黒の本體はDiospyros ebenum KOENIG. とすべきで我國に輸入する量は甚だ少い。

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