(1) 本調査は朝鮮咸鏡北道茂山郡延上面九大北鮮演習林苗圃に於てテウセンカラマツ樹苗の庇蔭に對する一考案である。
(2) 庇蔭格子は裸地を全光量とし, 1/2, 1/4, 1/8, 1/16光量になる樣製作し更に日覆區を加へ合計6試驗區を設けた。(寫眞1參照)
(3) 各試驗區は無肥料のまゝ5月13日播種7月1日格子を覆うて10月下旬迄半月毎に樹高を計つた。何れの試驗區の苗も9月中旬迄は順調に生長を續けたが夫以後は殆んど生長してゐない。10月初旬には紅葉し初め10月下旬には全部落葉した。何れの試驗區のものも枯死した苗は殆んどなかつた。
(4) 生長の止つた10月5日各試驗區から代表的な苗10本を選び掘取つて水洗し莖と根とに二分し夫等の長さ,重量,粉末容積,葉の長さ等を測定した。
(5) 莖の生長は1/2光量區が最も良く1/4光量區,全光量區1/8光量區1/16光量區の順に惡くなり,一年生テウセンカラマツ莖の生長は1/2光量附近を境として之れより光量増減するに從ひ惡くなる樣である。
(6) 根の生長は1/2光量區全光量區,1/4光量區, 1/8光量區, 1/16光量區の順となつて莖の場合と略一致してゐる,然し一つ注意すべき點は1/4光量區より全光量區の方が根の發達良く莖の場合と二者反對の結果を示してゐる事である。
(7) 葉の生長と光量との影響は莖や根程大ではなかつたがそれでも全光量區よりも1/2 1/4光量區が良く1/8, 1/16光量區と光量少くなるに從ひ生長が惡い。
(8) 日覆區と裸地との關係は北鮮の樣に樹木の生長期間の甚だ短い地方でも,やはり日覆した方が苗木の生長が良い樣である。
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