抄録
本報告はシメヂと木本性植物との菌根關係に關する記載の一部である。
林内に於て,本菌の子實體が發生してゐる附近には常に白色の極めて顯著な菌根を認めるのであるが,之はコナラと本菌との間に形成せられたものと考へられる。而して子實體は土壤表面近くに存在する菌根の上の緊密なる菌絲の層上に形成せられるを普通とする。
菌根は新鮮な若いものは白色であるが古いものは黒色に變ずる。
ミクロトム切片を作り菌根の内部を觀察するに,菌絲は表皮を通り皮層に侵入し,典型的なHARTIG'S networkを形成し,尚時に細胞内にIntracellular myceliumを認めることがあり即ち之はEctotrophic mycorrhiza(外生菌根)の一種である。