日本林学会誌
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穿孔虫によるドイツトウヒ立木被害の群集生態学的調査
西口 親雄
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1960 年 42 巻 2 号 p. 64-73

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抄録

昭和31年から33年にかけて,東京大学北海道演習林ドイツトウヒ造林地(明治44-45年植栽)において,穿孔虫による立木被害を群集生態学的に調べた。
1. 立木を加害する種として16種を記録した。
2. 立木の被害型を加害優占種で表わせば,つぎのとおりであ為。 (1) ヤツパキクイ優占型, (2) ジョウザソコキクイ優占型, (3) セイリソドウキクイ優占型, (4) 共同加害型。
3. 年別の各被害型の発生割合:昭和31年はヤツバキクイの優占する型が多く, 32年はジヨウザンコキクイの優占する型が多い。セイリンドウキクイ,エゾキクイの優占する型は,全期闘を通じてすくない。
4. 加害順序ほ,まずヤツパキクイによつて灘が開始され (1期),これにジョウザンコキク, Pityogenesが続き (2期),上記3種の食痕がやや進行したころ,エゾキクイ, Xyloterusの穿孔がはじまり (3期),葉の変色が表われはじめる頃,後記2種の穿孔がかなり多くなる。夏被害木にはヨツボシヒゲナガカミキジの加害が加わる。
5. 樹冠の変色型にはつぎの4型が認められた。 (1) 全面変色型, (2) 上半部変色型, (3) 下半部変色型, (4) 中間部変色壁そのうち, (2)~(4) は異常型である。

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