1962 年 44 巻 7 号 p. 197-200
マツクイムシに対するマツの主要な誘引物質として安息香酸を分離したので,これを用いてマツクイムシの誘引力について野外試験した。その結果
(1) 野外においても安息香酸は微量で,よくマツクイムシを誘引した。
(2) 安息香酸中にリノール酸およびテレビン油を混入することにより誘引力は高まるように思われ,その場合最も誘引力の強い時期のマツ材よりも誘引力は大きくなるのではないかと考えられる。
(3) 安息香酸区にはキイロコキクイムシ,マツノキクイムシの他にトウヒノヒメキクイムシ,トドマツオオキクイムシ(キクイムシ科);マツアナキゾウムシ,クロボシゾウムシ,マツオオキクイゾウ,マツクチブトキクイゾウ(ゾウムシ科);クロカミキリ(カミキリムシ科),等のマツクイムシおよびSupthiussp.(コマユバチ科)が誘引された。