日本林学会誌
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新しい立木材積表の調製に関する研究 (2)
各林分の材積曲線の性質について
梶原 幹弘
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1965 年 47 巻 2 号 p. 58-66

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抄録
本報告は大分地方スギ林における各林分の材積曲線の性質について研究したものである。
各林分の材積曲線は次式で求めることができ,つぎのような性質を持つことがわかった。
V=aDb
(1) 各林分の材積曲線式のbの値はきわめて小さな散らばりを示すにすぎず,このわずかな散らばりは林分の諸因子の従属変数と考えるよりは,むしろ生物的林分間変動とみなしうるものである。したがって各林分の材積曲線はほぼ並行するものとみなして差支えない。
大分地方スギにおけるbの値の平均値および危険率5%の時のその誤差はつぎのとおりである。
b=2.20±0.20
(2) 材積曲線式においてb=2.20とおきえた時,各林分の材積曲線は次式で表わされる。
V=a1D2.20
a1の値は林分によりかなりの変動を示し, a1の値は各林分の材積曲線上にあるある1組のDとVにより定まる。このようなDとしては平均直径,林齢が, Vとしては林分平均樹高,平均直径の木の平均樹高ならびに平均材積が考えられる。これらの因子のa1との相関の高さ,測定の容易さおよび正確さから検討した結果, a1を推定する因子としては平均胸高直径とその直径の木の平均樹高が最適であると認められた。(3) 各林分の材積曲線式の a1の値の推定式としては次式が適当で,この式よりきわめて正確に推定できることがわかった。
a1=pDqHr
大分地方スギでは a1=0.0001kとおくと, kの推定式は次のとおりで,この式の百分率標準誤差は2.5%である。
k=0.750D-0.273H0.895
以上のような結果より,各林分の材積曲線はあらかじめ標準化できる性質を持ち,この性質を利用した材積表は合理的なものであると認められる。
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