日本林学会誌
Online ISSN : 2185-8195
Print ISSN : 0021-485X
Coleosporium eupatorii ARTHURによるストローブマツの葉さび病
さび胞子,夏胞子の感染距離および本病の発生源
陳野 好之遠藤 昭渡瀬 彰
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 47 巻 8 号 p. 263-270

詳細
抄録
1961年から1964年まで,富士山において発生したストロープマツ造林木の葉さび病について2, 3の観察と実験を試みた。
1) 本病発生地で採取したさび胞子の接種試験結果によって,これらはすべてCleosporiumeupatorii ARTHURであることを明らかにした。
2) さび胞子の中間寄主に対する感染距離は比較的短く,多くはストニープマツ造林地内およびその至近距顕離に限られる。しかしごく一部では約100mに達した。
3) 夏胞子による感染範囲は, 7月下旬では初期感染源より約100~500m, 9月中旬では調査地約80haの全域,最長1,000mにもおよんだ。ただしこれらの感染密度は感染源に近いほど,また主風の風上方向より風下方向で高い傾向が認められた。
4) 富士山2合目付近で,天然生キタゴヨウマツに寄生するC. eupatorii ARTHUR菌を採取した。これは本文で述べた同菌によるストロープマツ葉さび病の発生源であったと推定された。
著者関連情報
© 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top