1967 年 49 巻 3 号 p. 87-93
従来トドマツの霜害では芽の被害にのみ注目され,幹の被害,ことに地際近くの胴枯型凍害には全く考慮が払われていなかった。そのため霜害時に現われる幹の被害を明らかにするために,造林地での被害調査と室内での凍結実験を行なった。その結果,次の諸点が判明した。
1. 冷え込みのきびしい平坦地,斜面の下部,台地では芽とともに幹の地際部に被害(胴枯型の凍害)を受けているものがかなり認められた。
2. 凍結実験の場合にも,芽とともに幹にもいろいろな程度の被害が認められた。
3. 開舒前には幹の下部が上部より被害を受けやすい。
4. 幹の一部のみを凍結させて,いろいろな程度の胴枯型の凍害をひきおこさせることができた。