スギ林分内の50本の個体から円板を採取し,その年輪幅から,個体別に各樹齢までの直径生長量を推定し,同じデータを用いて,隣接2本ずつを組み合わせて相関係数を求め,この値から各樹齢における個体間競争効果の推移を調べた。
1. 樹齢経過による個体間競争効果の変化は,いったん間伐によって消失したが,林分の閉鎖によってふたたび生じたと推察できた。
2. この個体間競争効果と各個体間相互の生長の大小との関係は顕著でなく,少なくとも28年生以降に生じた個体間競争効果は,各個体間の生長差に大きな影響を与えていないことが明らかであった。
3. 伐採した樹齢57年生の時の各個体の生長量の大小関係は,樹齢約20年でほとんど決定されていることが明らかであった。