日本林学会誌
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中国地方におけるブナの結実 (II)
種子の稔性と形質について
橋詰 隼人山本 進一
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1974 年 56 巻 11 号 p. 393-398

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抄録

1973年の秋に地区別,標高別にブナ林から種子をとり稔性と形質を調べた。
1) 地区および標高によって種子の稔性にかなり差異がみられた。種子の稔性は大山産のものが最もよかった。中国地方産の種子は平均35%が実粒, 23%が虫害粒流, 42%がシイナであった。一般にブナの分布の下限地と上限地の種子は稔性が低く,標高800~1,300mの地域の種子は稔性が高い傾向がみられた。2) 種子の稔性はブナの優占度と関係があり,優占度が低くなるに従って稔姓が低下した。優占度が1と+の林分の種子は充実率が0であった。3) 林分着果量が大で,密に着果した母樹が多い林分の種子は稔性が高い傾向がみられた。4) 種子の大きさにっいては地区間に大きな差はみられなかった。標高との関係についてみると,ブナの分布の下限地と上限地の種子は小さくて軽く,標高900~1,300mの地域の種子が良質のようであった。

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