抄録
採種園内に植栽されているクロマツ,アカマツの7,8年生のツギキクロンを用いて,GA4/7とGA3による着花促進の効果を調べた。主枝1本あたり20mgのGA4/7およびGA3の枝基部での包埋処理(CMCペーストに混入)によって,アカマツでは雌花,雄花ともに着花促進の効果が認められた。着花促進の効果はGA4/7とGA3でほぼ同程度であった。クロマツでも, GA4/7およびGA3の処理で,雄花が多量に着生したが,雌花には促進効果が認められなかった。クロマツでは,地上1m以下の樹冠最下部の主枝で処理をしたために,雌花についてのGAの効果を正確に判定することができなかった。樹冠内での処理枝の位置によるGAの効果の違いについて,再度実験が必要である。また,異種のGAの混合,あるいは環状剥皮等の他の物理的処理との併用による付加的な促進効果についても,今後調べる必要がある。この試験の結果から,クロマツ,アカマツでは,採種園での種子生産を増すための着花促進,あるいはマツノザイセソチュウに対する抵抗性の遺伝様式を調べる交配試験を行うための着花促進に,GA3あるいはGA4/7,を有効に利用することができると考える。