日本林学会誌
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スギこぶ病の解剖学的観察
福田 健二鈴木 和夫
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1986 年 68 巻 11 号 p. 462-466

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抄録

スギこぶ病の罹病部を解剖観察した結果, 5~6月の試料には,スギこぶ病菌の子のう殻が認められ,その形態から、本菌は Nitschkia 属菌ではないことが明らかにされた。その所属については今後検討を要する。こぶ組織の観察により,こぶは病原菌に感染した葉腋の細胞増生により発生し,塊状の細胞増生により豆状突起を生じ,それらの突起へ向かって形成層,木部,師部,髄を分化する,という過程により形成されることが明らかになった。こぶ組織はてんぐ巣病的な構造ではあるが,健全枝の組織とは大きく異なり,カルス組織等と共通点が多い。したがって本病によるこぶは,類器官性ではなく類組織性で,複組織性菌〓の一種と考えられた。

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