日本林学会誌
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スギ内樹皮における樹脂道の分布と人為的傷害処理による樹脂道の形成
金指 達郎横山 敏孝勝田 柾
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1987 年 69 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

スギカミキリに対して抵抗性を示すポカスギ(試料木I)と感受性であるクモトオシ(試料木II)について, 0.5m間隔で地上高別に樹幹全周の内樹皮横断面を観察して,樹脂道の分布状況を調べた。両試料木とも,どの高さの樹幹部位の内樹皮においても樹脂道の分布は不規罵であった。試料木Iでは多くの樹脂道が分布していたが,試料木IIでは少なく,その出現頻度は試料木Iの半分以下であった。両試料木とも7~8年(直径5~6cm)より若い樹幹では,樹脂道が極端に少なかった。また,傷害処理を与えたときの,ボカスギ(試料木I)とクモトオシ(試料木IV)における樹脂道の形成状況を2通りの処理方法(刺針処理,切除処理)を用いて調べた。両試料木とも,処理の5日後では,樹脂道の発達,あるいは新たな樹脂道の形成はみられなかった。以上の結果にもとついて,スギカミキリ抵抗性の判定法の一つと考えられている,傷害処理による樹脂道形成能力の推定法について検討した。

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